サケの腸内フローラと気候変動 ーGhosh博士の研究、サイエンスZEROで紹介

2025年4月20日(日)放送のNHK Eテレ『サイエンスZERO』にて、微生物グループと生理学グループが共同で行った「サケの腸内フローラ」に関する研究が紹介されました。

この研究は、「気候変動がサケの腸内細菌叢をどのように乱すのか」というテーマに焦点を当てたもので、当研究所ウェブサイトに掲載していた少し前の研究トピック記事が、番組制作会社ディレクターの目にとまり、取材につながりました。

研究を主導したのは、2024年3月に当研究室で博士号を取得し、現在はバングラデシュのチッタゴン獣医動物科学大学の准教授として活躍するGhosh博士です。博士は、稚魚期から成魚期にかけてのサケの腸内フローラの変化や、水温の違いによるフローラの応答を詳細に解析し、水温上昇や餌環境の変化がサケの健康に影響を及ぼす可能性を明らかにしました。

今回のテレビ放送は、こうした研究成果が広く社会に注目され得ることを示す一例です。今後も当研究室では、微生物と環境・生物の関係に着目した学際的な研究を進めていきます。

Ghosh, S. K., Wong, M. K. S., Hyodo, S., Goto, S., & Hamasaki, K. (2022). Temperature modulation alters the gut and skin microbial profiles of chum salmon (Oncorhynchus keta). Frontiers in Marine Science9, 1027621.

Ghosh, S. K., Wong, M. K. S., Hyodo, S., & Hamasaki, K. (2024). Gut microbiome community dynamics in captive juvenile chum salmon: the influences of development, diet, and seawater transition. preprint https://doi.org/10.21203/rs.3.rs-5286790/v1

柏の葉公園でお花見ランチ

4月初旬のある日、お昼休みにラボのメンバーと一緒に柏の葉公園へお花見に行ってきました。研究所のすぐ横にあるこの公園は、春になると桜が美しく咲き誇り、毎年私たちの癒しの場となっています。

この日はそれぞれがお弁当を持参し、桜の下にレジャーシートを広げてランチタイム。すでに葉桜になり始めた木もありましたが、まだ多くの花が残っていて、とても綺麗でした。

1時間ほどの短い時間でしたが、春の陽気の中でゆったりとした時間を過ごし、リフレッシュして午後の仕事に戻ることができました。

新年度も、自然の変化を感じながら、ラボ一同で前向きに研究に取り組んでいきたいと思います。

過去最多6名の修了生が羽ばたきました

2025年3月24日、東京大学の学位記授与式が開催されました。今年は私の研究室から修士課程5名、博士課程1名の計6名が修了し、過去最多の人数となりました。

午前中は安田講堂での式典、午後からは、各専攻ごとの学位授与式が行われました。今年は、水圏生物科学専攻(修士3名、博士1名)が弥生キャンパスで、先端生命科学専攻(修士2名)が柏キャンパスでの開催となり、私は出席人数の多い弥生キャンパスの式に参加し、その後急いで柏キャンパスに戻り、みんなで記念撮影しました。

修士課程を修了した5名のうち、3名は就職(食品関連の研究開発、大手コンサルティング会社、教育関連)2名は博士課程へ進学し、研究の道をさらに深めていきます。それぞれ異なる進路を歩むことになりますが、これからの活躍に大いに期待しています。

夜には、おおたかの森のお寿司屋さんで、修了メンバーとささやかなお祝い会を開きました。久しぶりに全員でゆっくり話ができる貴重な時間となり、和やかなひとときを過ごしました。新しい季節に、新たな一歩を踏み出すみなさんに、心からの祝福を。

白鳳丸KH24-3次航海に向けてペナンへ

8月中旬に東京を出港した白鳳丸が、マレーシアのペナンに到着し、ここからいよいよ研究者が乗船します。私は23日夜に羽田を出発し、クアラルンプール経由で24日にペナン空港に到着、そのままジョージタウンの客船埠頭に向かい、2日前から停泊中の白鳳丸に乗船しました。出港は2日後でしたので、それまで街を見聞する時間がありました。客船埠頭は客船がいなかったので閑散としたものでしたが、少し歩くと繁華街があり、たくさんの観光客で賑わっていました。ジョージタウンは、街が世界遺産となっており、イギリス植民地時代のコロニアル様式の建物や、小さな間口の建物が隙間なく並び2階から伸びたひさしで回廊のようにつなっがっている独特の街並みが、異国情緒豊かな雰囲気を醸し出していました。また、土地を持たなかった中華系移民が一族単位で築いたとされる水上住宅群もとても印象的でした。市場でいただいたラクサやホッケンミーといった麺や、レストランでいただいた海鮮料理は、中華系の味付けが多く、おそらくシンガポールなどと近い感じでした。市場では当然ながらクレジットカードは使えないのですが、QRコードとスマホによる電子決済が普及しており、キャッシュレス社会への移行を実感しました。忙しかったオフィスを離れてリフレッシュしつつ、翌日からの航海に備える滞在でした

客船ターミナル 左奥に停泊中の白鳳丸

独特の建築様式の街並み

水上住宅 ジェッティ

市場のお魚

市場のフードコート

いよいよ出港!

白鳳丸インド洋航海に向けて機材積込

7/11に、お台場ライナー埠頭にて、白鳳丸インド洋航海に向けた研究機材の積込作業を行いました。コロナ流行以後は、外国航海が全てキャンセルとなっていましたので、白鳳丸としては実に4年ぶりの外国航海となります。船は8月に東京を出航し、私たちのチームは8月下旬に次の寄港地で乗船します。今回は、2018年のインド洋航海よりも南の海域を中心に海水、SML、エアロゾルの観測をする予定です。

「豊潮丸」研究航海2024

6/30-7/3の日程で、広島大学練習船「豊潮丸」による研究航海に乗船しました。広島大学大気海洋化学研究室の竹田教授、岩本准教授が主催する研究航海に加えていただき、瀬戸内海でSMLサンプリングを行いました。当研究室からは、竹内さん、陳さん、岡本さんが乗船しました。また、研究室OBで現在は国立水俣病研究所の主任研究員を務める多田博士と、同室長の丸本博士も同乗していました。SMLサンプルは、広島大学や水俣研チームとシェアしましたので、分析結果が楽しみです。

 

神戸港ポートタワー前の岸壁から乗船

CTD採水

船内のドライ研究室

SMLサンプリング

日本地球惑星科学連合年会&海洋学会フットサル

5/26-31の日程で、日本地球惑星科学連合年会(JpGU2024)が幕張メッセで開催、インド洋セッション、大気海洋生物地球化学セッションで発表しました。初日の夜には恒例の海洋学会フットサルが企画され、秋に続いて今回も30名以上が集まり大変盛況でした。

研究室歓迎BBQ

研究室で新メンバー歓迎のBBQをやりました。今年も、修士課程、博士課程それぞれに新メンバーが加わりました。また、客員教授として、元東京海洋大学教授の今田千秋先生に1年間来ていただけることになりました。今田先生は、海洋放線菌や乳酸菌からの有用物質探索とその応用研究の専門家です。様々な環境からの新規海洋細菌の分離や培養のコツをぜひ学びたいと考えています。その他、吉澤さんの招聘で8月まで、プロテオロドプシンの発見者のBeja先生も滞在中ですので、こちらも研究活動の刺激になるものと期待です。

 

プランクトン・マニフェスト

4月19日に、国連グローバルコンパクト海洋シニアアドバイザーでPlankton Manifestoを主導するVincent Doumeizel氏が来訪、研究所を案内しました。

国連グローバルコンパクトは、企業の営利活動に対し、人権・労働権・環境・腐敗防止に関する基本原則を順守し実践するよう求める国際的なイニシアチブです。そのシニアアドバイザーを務めるVincent Doumeizel氏が、来日するということで、これに合わせて本所の訪問をアレンジし、国際センターの齊藤教授も交えて意見交換をしました。もちろん、はまのお寿司も堪能していただきました。

Doumeizel氏は、グローバルコンパクトの活動として、2020年に海藻の産業利用に関する提言をまとめたSeaweed Manifestoの作成を主導し、現在はPlankton Manifestoの作成を進めており、私もその編纂に協力しています。これらの提言書は、海藻やプランクトンに関連する企業活動の一つの国際的な指針として利用されることが期待されています。

 

お花見

4/11、ちょうど桜が見頃を迎えた柏の葉公園へ、お弁当とブルーシートを持って研究室メンバーでお花見に行きました。隣のプランクトン研究室のお花見に遭遇。皆さん考えることは同じですね。