白鳳丸のインド洋航海を終えた下船地は、西オーストラリアの港町フリーマントル。せっかくの機会なので、どこか近くで微生物好きとして心が躍る場所はないかと探してみたところ、見つけたのが「スロンボライト(Thrombolite)」の存在でした。
西オーストラリアといえば、まず思い浮かぶのがストロマトライト(Stromatolite)。これは光合成を行う微生物(主にシアノバクテリア)が堆積物を積み重ねてつくるドーム状の構造体で、地球最古の生命の痕跡として知られています。中でも世界遺産にもなっているシャークベイのストロマトライト群が有名ですが、フリーマントルからは遠く、今回は断念。
その代わりに見つけたのが、フリーマントルから車で約1時間の場所にあるLake Clifton(レイク・クリフトン)。ここでは、スロンボライトという、ストロマトライトの「親戚」ともいえる微生物構造体が見られます。ストロマトライトと違い、スロンボライトは内部構造が層状ではなく、より不規則に凝集した塊状構造。どちらもバイオフィルムを形成する微生物が堆積物を捕捉して作り上げた岩石構造で、数十億年前の生命活動を今に伝える“生きた化石”ともいえる存在です。
そこで、微生物研究者なら一度は見ておきたいと、私を含めて4人(学生3人+教員1人)でフィールドトリップに出かけました。現地では、教科書で見るような「見渡す限りのドーム群」という景観はありませんでしたが、湖畔の木道からスロンボライトを間近に観察することができ、満足度は十分。実はこのようなダイナミックな風景を望むには、乾季で水位が下がった時期に訪れるのがベストとのこと。今回は季節的に水量が多めだったようです。
帰り道は寄り道のしすぎで、レンタカー返却がギリギリになるハプニングもありましたが、それも含めて良い思い出となりました。フリーマントルに降り立つ機会があれば、定番の観光地とは一味違う、微生物視点の小旅行もおすすめです!

フリーマントル港のブルワリーにある入港中船舶の掲示板 白鳳丸の名前が!