今年も12/21-26の日程で波の花のサンプリングに行ってきました。金沢大学角間キャンパスでのワークショップの翌日に能登臨海実験施設に移動しました。翌日は「顕著な大雪」のためにサンプリングを中止、翌々日の12/23にいつもの真浦海岸に向かったところ、まだたくさんの雪が残る海岸に、波の花が積み上がっており、幸先の良いスタートなりました。しかし、続く2日間は波の花はほとんど見られず、海水やエアロゾルサンプルのみを採集し、帰路につくこととなりました。
波の花&海泡濃集ワークショップ
毎年冬に能登で実施している波の花調査の研究グループが、金沢大学角間キャンパスに集まり、これまでの研究結果について議論するワークショップを行いました。金沢大学、広島大学、愛媛大学、気象研究所などから20人ほどがハイブリッドで集まりました。私たちの研究室からは小林さん、黄さん、陳さん、竹内さん、岡本さんが参加して、学生さんには自分の研究内容について発表してもらいました。夜は金沢の街で加賀料理をいただきながら参加者の懇親を深めました。
アジア微生物生態シンポジウム
アジア微生物生態シンポジウム、通称ASME(Asian Symposium on Microbial Ecology)は、日本、韓国、台湾の微生物生態学会が主催するアジア圏の微生物生態研究者ネットワークです。それぞれの国で毎年持ち回りで開催され、今年は日本開催の年でしたので、日本微生物生態学会(JSME)年会に合わせて浜松市で開催されました。博士課程の黄さんが、波の花サンプルのメタゲノム解析と、そこから分離した菌のゲノム解析の結果についてポスター発表しました。
ASMEは、2007年のJSME愛媛大会開催時にISME-Asia としてアジア圏の研究者を集めて開催された国際シンポジウムが始まりです。ISME-Asiaは単発のシンポジウムでしたが、これをきっかけに韓国微生物学会(MSK)およびJSME間でより継続的な交流を行うこととなり、2009年に日韓シンポジウムがスタートしました。2010年に、TSME(Taiwan Society of Microbial Ecology)が設立されたことを受け、翌年から台湾の研究者らも加わり、2013年第5回シンポジウムは初めて台湾で開催されました。2009年にKJシンポジウムとしてスタートし、その後TKJシンポジウムとなり、2016年の第8回からはアジアの国々のより広い参画を目指しASMEと名称を変更して現在に至っています。
2009年当時、学会長だった前教授の木暮先生と一緒に事務局長としてシンポジウムを立ち上げ、その後ASMEとしてスタートするまで組織運営に関わりましたので、現在まで定着している様子を見るにつけ、感慨深いものがありました。さらに大きく発展することを願っています。
OceanDNAテック2023
「OceanDNAテック」は、環境中での生物動態をモニタリングするツールとして急速に発展しつつある環境DNA/RNA(environmental D/RNA: eNA) 解析について、その技術的な側面に焦点を当て、企業、行政、学術等の多様なステークホルダーと広く情報交換することを目的としています。同様のイベント(OceanDNAテック2021、同2022)をこれまで2回開催し、本集会が3回目の開催となりました。今回のイベントでは、11月1日〜2日の2日間で11名の招待講演者に話題提供をしていただきました。ウイルスから魚までさまざまな海洋生物を対象とした研究例、魚類eNAの最新検出技術、さらにeNAを利用した生物多様性情報の共有基盤構築を目指すANEMONEコンソーシアムなどについて発表いただきました。また、これまでに開発と実証試験を重ねてきた環境DNA自動採取・保存装置について、実際の機器の展示と動作デモンストレーションも行いました。全体で73名の参加があり、その内訳は大学関係者62%、公的機関関係者7%、企業関係者31%でした。これまで3回のイベントを通じて、延べ500名近い参加者があり大学、研究機関や民間企業等との連携が広がりつつあります。こうした連携をさらに強化する意味でも来年も開催する予定です。
柏キャンパス一般公開2023
柏キャンパスの一般公開が4年ぶりに実地開催されました。私たちの研究室では、塩崎さんの発案で「南極海の氷」と「北極海の氷」の展示を行いました。見た目はどちらも白い氷ですが、実は良く見ると違いがあります。南極海の氷は、もともと大陸に降り積もった雪が長い年月をかけて圧縮され、それが海に押し出されたもので、氷の中に無数の気泡が入っています。一方、北極海の氷は海水が凍結したものですので、気泡は入っていませんが、無数の間隙が入っているためより白っぽく見えます。真水は透明な氷になりますが、海水は凍結が進むにつれて残った水の塩分が濃縮され、さらに凍りにくくなるため、その部分が隙間となります。そこで、実際に真水と塩水を凍結した氷に染料を垂らして違いを見せる展示も行まいした。実は、自然環境ではこのように海氷には無数の間隙があり、その中でアイスアルジーと呼ばれる微細藻類が増殖し、小さな生態系が形成されています。しばしば氷の底面が茶色に色づくほどになります。
白鳳丸世界一周航海(2019-2020)成果発表シンポジウム
白鳳丸は2019年から2020年にかけて、地球をぐるりと一周する航海を実施しましたが、その成果発表シンポジウムが開催されました。1989年の就航直後に行っわれた世界一周航海では、太平洋、大西洋、地中海、インド洋と最も長い距離を一周しましたが、2019年航海では、太平洋横断後に南大洋の大西洋区、インド洋区を経る航路でした。就航から30年の時を経て久しぶりの世界一周航海でした。
チリのバルパライソに向けてホノルル港を出港する白鳳丸
JOSフットサルin京都
日本海洋学会の非公式イベントとして、第12回JOSフットサル大会が開催されました。今年は前例のない2回開催で、加えて過去おそらく最多の35名が参加するという盛況でした。夜には四条の居酒屋に移動して参加者同士の交流を深めて、大いに盛り上がりました。こうしたスポーツを通じての交流は楽しいですし、研究船などで共同で観測することの多い海洋学の研究活動には、特にプラスの相乗効果をもたらす面が大きいと感じます。
インド国立海洋研究所・ゴア大学訪問
インドのゴア州パナジ市にあるNational Institute of Oceanography(NIO)には、かつて微生物分野出身の教授(Dr. Shanta Achuthankutty, https://www.nio.res.in/profile
KH23-3白鳳丸航海(SOLAS-JIPS-PartI)帰港
この航海は、SOLAS-JAPANの活動の一環として、西部北太平洋における大気と海洋の境界面で起こるさまざまな過程を観測して、黄砂に代表される大気からの降下物が海洋生態系に及ぼす影響や、逆に海洋生態系の変化が大気に及ぼす影響を明らかにすることを目的としています。
東京大学を含めて実に12の大学・大学校(長崎大学、広島大学、愛媛大学、金沢大学、京都大学、近畿大学、名古屋大学、明治大学、筑波大学、北海道大学、海上保安大学校)、5つの研究機関(水産研究・教育機構、海洋研究開発機構、国立環境研究所、国立水俣病研究所、気象研究所)からの研究者と大学院生が乗船し、非常に多岐に渡る研究課題でサンプルやデータを収集することができました。特に今回は、同じ観測点に1週間ほど止まることで、時事刻々と変化する生態系の応答を捉える観測ができましたし、通常の航海ではシップタイムを確保することが難しいマイクロレイヤー観測も繰り返し実施することができました。2年後には、春の黄砂の時期に同様の航海SOLAS-JIPS PartIIを実施する予定です
KH23-3白鳳丸航海(SOLAS-JIPS-PartI)
大気海洋相互作用をテーマとした白鳳丸航海(7/2-7/29)がいよいよスタートしました!
前半は気温7度の亜寒帯で5日間の集中観測を実施しました。現在は猛暑の東京に一時寄港中です。明日は、再び後半戦の亜熱帯での観測に向けて出港します。