2024年11月10-14日、インド・ゴアで開催されたSOLAS(Surface Ocean–Lower Atmosphere Study)国際会議に参加してきました。今回の会議では、エアロゾル、ダスト、SML、海洋微生物、有機物の起源、気候への影響、さらには海洋ヒートウェーブやプラネタリー・ヘルスといった広範なトピックが取り上げられ、非常に刺激的な議論が展開されました。私は3日目のセッションで、“Profiling microbial community in sea surface microlayer and marine aerosols in the Bay of Bengal and the Southeast Indian Ocean”と題してインド洋での船舶エアロゾル観測の結果を紹介しました。ついでにSOLAS-JIPS航海の宣伝もしました。
会期中、NIO(National Institute of Oceanography, India)の研究者から連絡をいただき、「今後のインドのSOLAS代表はNIOになる予定」とのこと。まずはSOLASの枠組みでのジョイント研究から始めて、将来的なMOU締結も視野に入れた連携を進めていく流れとなりそうです。また、ドイツの研究者からは「ダストに付着した病原菌の大気輸送」に関する比較研究の提案も。日本との二国間研究ができると面白そう。
ドイツTROPOSの糖分析チームの発表は大変興味深く、我々のSML中の糖研究とのシナジーが期待されます。特にINP(Ice Nucleating Particles)への糖の関与を明らかにする研究は、今後の展開として非常に面白くなりそうです。
Future EarthやEarth System Governanceとの連携のもと、脱炭素、炭素除去、プラネタリー・ジャスティス、持続可能な海洋ガバナンスといった「研究と社会をつなぐ課題」も大きな柱になりつつあります。Doug Wallace氏による海洋アルカリ添加、Daniel Harrison氏によるマリン・クラウド・ブライトニング(MCB)など、科学的知見が社会的ソリューションに直結する試みが紹介されました。
今年7月には、元NIOのラマイヤ教授の招聘を予定しており、海洋微生物に関する教科書執筆プロジェクトも進行中。ゴアでの長期滞在執筆も構想しているところです。
次のステップに向けて、さまざまな可能性が見えてきた旅となりました。