アジア微生物生態シンポジウム

アジア微生物生態シンポジウム、通称ASME(Asian Symposium on Microbial Ecology)は、日本、韓国、台湾の微生物生態学会が主催するアジア圏の微生物生態研究者ネットワークです。それぞれの国で毎年持ち回りで開催され、今年は日本開催の年でしたので、日本微生物生態学会(JSME)年会に合わせて浜松市で開催されました。博士課程の黄さんが、波の花サンプルのメタゲノム解析と、そこから分離した菌のゲノム解析の結果についてポスター発表しました。

ASMEは、2007年のJSME愛媛大会開催時にISME-Asia としてアジア圏の研究者を集めて開催された国際シンポジウムが始まりです。ISME-Asiaは単発のシンポジウムでしたが、これをきっかけに韓国微生物学会(MSK)およびJSME間でより継続的な交流を行うこととなり、2009年に日韓シンポジウムがスタートしました。2010年に、TSME(Taiwan Society of Microbial Ecology)が設立されたことを受け、翌年から台湾の研究者らも加わり、2013年第5回シンポジウムは初めて台湾で開催されました。2009年にKJシンポジウムとしてスタートし、その後TKJシンポジウムとなり、2016年の第8回からはアジアの国々のより広い参画を目指しASMEと名称を変更して現在に至っています。

2009年当時、学会長だった前教授の木暮先生と一緒に事務局長としてシンポジウムを立ち上げ、その後ASMEとしてスタートするまで組織運営に関わりましたので、現在まで定着している様子を見るにつけ、感慨深いものがありました。さらに大きく発展することを願っています。

OceanDNAテック2023

「OceanDNAテック」は、環境中での生物動態をモニタリングするツールとして急速に発展しつつある環境DNA/RNA(environmental D/RNA: eNA) 解析について、その技術的な側面に焦点を当て、企業、行政、学術等の多様なステークホルダーと広く情報交換することを目的としています。同様のイベント(OceanDNAテック2021、同2022)をこれまで2回開催し、本集会が3回目の開催となりました。今回のイベントでは、11月1日〜2日の2日間で11名の招待講演者に話題提供をしていただきました。ウイルスから魚までさまざまな海洋生物を対象とした研究例、魚類eNAの最新検出技術、さらにeNAを利用した生物多様性情報の共有基盤構築を目指すANEMONEコンソーシアムなどについて発表いただきました。また、これまでに開発と実証試験を重ねてきた環境DNA自動採取・保存装置について、実際の機器の展示と動作デモンストレーションも行いました。全体で73名の参加があり、その内訳は大学関係者62%、公的機関関係者7%、企業関係者31%でした。これまで3回のイベントを通じて、延べ500名近い参加者があり大学、研究機関や民間企業等との連携が広がりつつあります。こうした連携をさらに強化する意味でも来年も開催する予定です。