かいめい航海から戻って息つく間もなく、暖かい小笠原から大雪の能登へと今年も行ってきました。日本海側は前週から大雪で、到着した日も吹雪。飛行機も視界不良で着陸できるかもわからないような天気でしたが、翌日からはすっかり穏やかな天気。波の花が発生する気配は全くありません。代わりに海水や海藻などをサンプリングしながら待つこと2日間、その間に体験活動施設「のと海洋ふれあいセンター」を訪問。センターは、九十九湾をはさんで臨海実験施設の向かいにあり、奇しくも職員のお一人は広大時代の研究室OBということで、施設を案内していただき波の花の発生状況なども色々と教えていただきました。ようやく3日目になって、強い南風のおかげで波の花のサンプリングができました。
「かいめい」航海
初めて「かいめい」に乗船しました。11/25に横須賀のJAMSTEC岸壁を出港して、西小笠原海域で2週間ほど調査をして、12/12に父島で下船しました。コロナ流行のためにしばらくはすべての航海が中止されていましたが、夏以降から少しずつ再開されましたので本航海も予定通り乗船することができました。もちろん、乗船前には全員がPCR検査で陰性を確認して、船内でもマスク着用での作業となりました。
本船は、4年前に就航した海底探査を主目的とする最新鋭の研究調査船で、予てから乗船してみたいと思っていましたが、そもそも海底に関する研究をやっていないこともあってなかなか乗船の機会がありませんでした。今回は、深海底の海洋保護区をテーマとする環境省主導のプロジェクトが今年から開始され、そのための調査ということで乗船の機会を得ることができました。主役は、深海底の魚やエビ、サンゴ、海綿といった大型生物ですが、私たちは深海底の堆積物や水を対象としたメタゲノム解析を担当します。
この航海では、私がいつも参加している航海とは違って、無人潜水艇などを使った海底の直接観察にほとんどの時間を費やしましたので、とても新鮮かつ得難い経験でした。本航海では手法開発のための様々なテストに加えて、どんな生物がどこにいるのかを調べる生物マッピングのミッションもありましたので、大学や博物館などから生物分類群ごとの専門家が乗船していました。彼らが、潜水艇から送られてくる映像をリアルタイムで見ながら生物種を特定し、珍しい種があればロボットアームや掃除機のようスラープガンで採集するといった作業が毎日のように繰り返されました。生物学における直接観察の楽しさと重要性を改めて感じた航海でした。
父島では土曜日に下船して、火曜日に出港する「おがさわら丸」で東京に戻りました。
マルチプルコアラーサンプル
「かいめい」と「おがさわら丸」