10月26日ハワイ入港当日、オアフ島に近づいてホノルル入港まで2-3時間といったあたりで、甲板に出てふっと海面を見ると、何やら茶色い木屑のような固まりが漂っています。ん!!急いで舷側に寄って覗きこむと、前進する船の前方から後方に向かってかなり広範囲に流れていきます。どうやら、窒素固定性藍藻類トリコデスミウムのブルームのようです。トリコデスミウムは亜熱帯の貧栄養海域、特に島の近くで大増殖してブルームを形成することが知られており、綺麗な青い海に茶色い縞模様を作っている写真が教科書にも良く載っています。多くの植物プランクトンは、窒素源として硝酸塩やアンモニウム塩を増殖に必要としますが、亜熱帯外洋域の表層にはこれらの栄養塩がほとんどありません。トリコデスミウムは、空気中にたくさん存在する窒素ガスを直接利用できる窒素固定酵素を持つため、普通の植物プランクトンが増殖できない亜熱帯外洋域でも増殖することができます。2年前の白鳳丸航海でもハワイ沖のゾディアック観測時にトリコデスミウムのブルームにあたり、ちょうど同じような感じでしたので、まず間違いないのではないかと思います。
ハワイ沖で遭遇した(おそらく)藍藻ブルーム