太平洋亜熱帯海域におけるリン、ヒ素の分布と微生物動態に関する論文”Arsenate and microbial dynamics in different phosphorus regimes of the subtropical Pacific Ocean.” がProgress in Oceanography誌にてオンラインリリースされました。東京海洋大学の橋濱先生の研究グループとの共同研究です。
北太平洋亜熱帯海域の西部では活発な窒素固定により、表層海水中のリン酸塩が消費され枯渇状態にあります。そうした海域の微生物にはヒ素耐性に関わる遺伝子がより多く備わっていることがわかりました。ヒ素取込みの影響を回避するための適応の結果と考えられます。ダストによる鉄供給が左右する窒素固定活性が、海域間での化学成分の違いにつながり、さらに微生物機能の違いにまで影響しているようです。地球環境と海洋の生物活動が密接にリンクしていることを示唆する好例だと思います。