本航海では、北緯5度と南緯5度の2つの観測点でマイクロレイヤー観測を行いました。海表面マイクロレイヤー観測には、波のないフラットな状態の海面、「スリック」と呼ばれる状態が必要です。無風状態がベストですが、経験的に風速6mを下回るコンディションになるとこうした状態が見られるとされています。風が弱い時期とはいえ、なかなかマイクロレイヤー向きのコンディションになることは少なく、何度か観測をスキップしてようやく2回の観測ができました。専用のサンプラーで極表面の海水を集めるため、船からZodiacと呼ばれるボートを降ろしてのサンプリングです。大海の真ん中で波に揺られながらの数時間です。マイクロレイヤーの微生物叢を調べるほか、採取した水をバブリングして、人工的に海泡エアロゾルを生成させる実験も行いました。海水、マイクロレイヤー、海泡エアロゾル、大気、それぞれの微生物叢を比較することにより、海洋微生物がダイナミックに海洋ー大気間を移動する様子が見えるのではと期待しています。