経歴
2014年 3月 東京大学農学生命科学研究科 水圏生物科学専攻
博士課程修了 博士(農学)
2014年 4月~2016年10月 国立研究開発法人 水産研究・教育機構 中央水産研究所
海洋・生態系研究センター 学振特別研究員(PD)
2016年11月~ 東京大学大気海洋研究所 浮遊生物分野 助教
2018年3月~2020年2月 ブリティッシュコロンビア大学 JSPS 海外特別研究員
研究内容
海洋のメソ動物プランクトン(主にカイアシ類)を対象とした分子生態学の研究を行っています。
- 動物プランクトンの種多様性・生物地理
群集構造を迅速かつ網羅的に解明可能なメタバーコーディング手法を確立し、太平洋外洋域におけるカイアシ類の群集構造や多様性解析を行ってきました。現在は対象を動物プランクトン全般に広げ、動物プランクトンの種多様性や生物地理の調査を地球規模で展開しています。研究は国際ワーキンググループMetaZooGeneの活動の一環として、国際共同研究として進めています。また、メタバーコーディングに必須な遺伝子配列のデータベース整備のため、国内の研究者と連携して動物プランクトンの遺伝子データの充実を目指しています。
- 動物プランクトンや魚類仔稚魚の消化管内容物解析
メタバーコーディング手法を応用し、動物プランクトン(カイアシ類等)や魚類仔稚魚(イワシ類・クロマグロ等)の消化管内容物解析を行い、従来法では困難な重要餌料の特定を行いました。現在も共同研究を中心に分子生物学的手法を駆使した食性解析を進めています。動物プランクトンの食性の違いは多種共存の重要なメカニズムとしても着目しています。
- 動物プランクトンに感染するウイルスの多様性と生態学的意義
未知なる多様性や生態学的意義を秘める動物プランクトンのウイルスの研究を精力的に進めています。動物プランクトンの個体群動態にウイルスの関与や、ウイルス感染に対する動物プランクトンの生理応答を分子生物学的手法により調べています。
- 外洋域カイアシ類の遺伝的多様性
物理的障壁の乏しい海洋は高いプランクトンの分散が想定されています。一方、近年の分子系統地理解析により海盆をまたがり分布するコスモポリタン種の種内の集団構造、高い遺伝的多様性が明らかとなってきました。そこで、一般的なミトコンドリアDNAの遺伝子マーカーに加え、一塩基多型の網羅的解析による集団構造や地点間の遺伝子流動を調べています。
- 重要種の分類体系の再検討
動物プランクトンは重要種でも分類学的問題を抱える種が多く存在します。そこで、分類の専門家や国外の研究者と共同研究を行い、北太平洋における重要カイアシ類(Paracaalnus,Metridia属等)の形態および遺伝子解析を進め、分類体系の整理を行っています。また、一塩基多型の網羅的解析を行い、正確な生物学的種の判別を行っています。
研究助成(2022年度進行中)
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
海洋性動物プランクトンに感染するウイルスの存在意義の解明
環境省 環境研究総合推進費 革新型研究開発(若手枠)
気候変動の影響評価に向けた地球規模の海洋性動物プランクトン多様性解析